良いものを長く

こんにちは!

カテゴリは洋服・洋品としましたが、内容は少し違うかもしれません。一昨日のBlogで本来の豊かな生活とは何か?ということで少しお書きしましたが。

やはり大量生産と大量消費の中ではどうしても豊かな生活を見出せないような気がしております。電気機器などはほとんどが壊れたら捨てられてしまいますよね。進化が早すぎると言うのもありますけど。パソコンなどはこれ以上のスペックが必要のないところまできていますから最近はリフレッシュしたパソコンの販売に力を入れているところもあると思います。

私は常々料理屋さんはいいなぁと思っていました。というのは味覚は万人がほぼ同じ感覚を持っていると思っていたからです。100人いたら70人から80人は美味しいものを美味しく感じるであろう。ということは美味しいものを作れば必ず流行ると。ただこの時代ですから、内装だとかプライスも含めて他の要素も影響はしてきますが、基本は味だと思っていました。

先日、あるテレビ番組をその番組のほんの5分くらい見ていると、どうも魚だと思うのですが、天然物と養殖物の食べ比べでもしたのか、その違いを言っておりました。天然物が美味しいに決まっていると思いきや、最近は一般の人が美味しいと思えるような味がでるように餌だとかを考え、美味しいと言ってくれるような養殖魚を育てているそうです。

味覚というのは時代が変われば変わるものとして、昔はマグロのトロの部分は捨てていたのに今では一番高級とされそれが食されています。

今は柔らかくて甘くて・・・なんていうのが食のベストセラーなのでしょう。味は脳で覚えるとも言っていました。養殖を食べさせられてそれが美味しいと脳で覚えてしまうと、天然物は硬くて当たり前ですが、痩せています。美味しいものではないのかも知れません。海の側で取れたての魚を食べてやはり天然物は最高だ!というのもそのロケーションで食べているからかも知れません。もしかして、町中(まちなか)の料理屋さんで両方並べられたら分からないのかもしれませんね。

私の知り合いの方で、自分の子供さんには最高のものを着させるのだと言われ、その方は海外にもよく出られる方でしたから、冬には子供用のカシミヤなどを買ってこられ、子供さんに着させらていたそうです。今はその子供さんも成人されましたけど、何故そんなことをするか?子供のうちから肌身を持っていいものを記憶させるそうです。そうでないと将来的に本物かどうか?を見極めることができなくなるからだと言います。

先日Blogに頂きました、食に対してファーストとスローという言葉がありましたが、ファーストフードの戦略としては子供のうちからあの味を覚えこませるのがそうだと聞いたこともあります。

マグロのヅケが昔は最高の食材、今はトロ。時代の移り変わりとともに確かに変わっていくものがあるのは仕方はないと思います。しかし、この変化は決してファーストとスローの変化ではないと思います。誰かの戦略?そうなのかも知れませんが、戦略ではなく時代の移り変わりで変わっていくものも確かにあると思いますから。

今、世の中がどんどんグローバル化しています、このネットもそうだと思います。市町村合併がこの石川県でも進んでいますが、これに関しては拡大をするという意味ではなく、小さい範囲で力を持ち独自性を維持させていく為の方法だと思います。(財政面も一つの要素であることは否めませんが)

金沢にも新幹線が将来的には入ってきます。10年くらい前ある人の講演で金沢は新幹線は来ない方がいいと思いますよ。と言われました。今でもその言葉は忘れません。それまでに金沢というブランドイメージを高め独立した文化を持たないと多分グローバルな波に飲まれてしまうことになるのではないかと危惧しております。

今全国的にグローバル化とそれに伴った画一化が進んでいます。大量生産と大量消費の中ではなかなか文化は育ちにくいのは事実だと思います。新幹線を選択しましたが鎖国(笑)も一つの手だったかも?

私達は文化とは言わないまでもいつまでも使える、そしてメンテナンスができるものを提供し、その方がお気に召して頂いているのであればずーっと使えるものを提供していく義務があるのではないかと思いました。

人それぞれにまた「豊か」と言うものの感じ方は違うと思いますが、大量生産、大量消費の時代も何れの日にか終わるような気もします。その時には技術者やノウハウは海外に移転し空洞の日本にならないように願います。

数年前に近所でコトコトミシンを小さなスペースでかけながら、カバンやベルトを直してくれてたおじいさんのお店がなくなりました。最近はリペアやメンテナンスの事業展開をされる企業も多くなっていると思います。私達は本来は価値観のあるものにはある程度の出費をしそれを長く使用していく方向にもっていかなくてはいけないような気がします。

と、とっても硬い文面になりましたが、先日のJRの事故が私にはとても衝撃的なことだったのでしょう。色々考えるようになりました。

最初はこのような文面を予測していなかったのですが、書いているうちにこうなってしまいました。当店は今の内装にして30年くらいになります。扱う商品の変化に伴いレイアウトや照明の一部は変更しましたが大きくは変えておりません。最近の内装は経費をかけずにというものが多いのでしょう。当店が大きな改装ができないのは初期投資の大きさもあるのかも知れません(笑)しかし、これからの時代いいものを長く使う時代は必ずくると思います。それははっきり言って価値観の違いだと思います。ある建築屋さんに時代にあったお店にするべきだと言われたことがありますが、ヨーロッパへ行くと当店のような内装のお店を多く目にすることがあります。

もしかすると、ヨーロッパの街並みが昔の様相をとどめているのは初期投資の大きさからかも?まぁそんなことはないとしても、物に対する考え方は違うのは明らかだと思います。今の日本人、わたしの思い違いかもしれませんが、ヨーロッパの人々と日本人どちらが豊か生活を送っているか?と問いかけると憶測ですが半数以上はヨーロッパと答えるのでないでしょうか?

以前から不思議に思っているのは(これは戦争の影響は大きいと思いますが)特に流通業において何故にヨーロッパを模倣せずにアメリカの流通を参考にしてきたのか?日本はヨーロッパであるべきではなかったのか?と思ってしまいます。

話を店内の内装に戻しますが、当店は神戸の永田良介商店という西洋家具の会社に内装をお願いしました。創業は明治5年です。勿論当店よりも歴史があります。ショーケースや写真の椅子もそうなのですが、この椅子に関しては数年前張り替えてもらいました。ガタツキも直して頂き、恐らくまだ20年、いやその後もメンテナンスをお願いすれば本当に末代まで大丈夫だと思います。こういう文化を大事にしなくてはいけないと思います。

このような家具には絶対に大量生産、大量消費ではできない重厚さを持っていますし、その家具屋さんの文化も商品に表現されています。

金港堂も永田良介商店さんに負けないようなものづくりとそして本当にいいものを提供していかなくてはいけないのだと思います。言うのは簡単です、まだまだ中途半端なのも現実だと思います。

豊かな生活・・・それは本当に難しいものですね。誰もが目指しているはずなのですけど。。。

店内の様子を金港堂のサイト内にてアップしましたのでご覧下さい。こちらからです。店内の内装や売り場をご紹介させて頂いております。

長い長いBlogお付き合い頂きまして有難うございます。