手仕上げ vs 機械プレス|シャツを守るクリーニングとは

クリーニング屋さん...どうして、こんなことになるんでしょう?

投げても割れないくらい丈夫なボタンが、割れて返ってきた――しかも、そのまま。

これは、ちょっと納得がいきません。

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お客様のシャツです。カフスから脇の方に伸びるパーツ(剣ボロ)に付いているボタンが恐らくは割れて止めていたボタン付け糸だけになっています。

こういう状態になったシャツが3枚。どうしたらここだけ割ってくるかね?

相当強い力か熱をかけないとボタンが割れるってことないからね。

もし洗っている最中に割れるとすると、この部分だけ割れるということはないと思うのですよ。

よくお客様にボタンをセレクトしてもらう時に「割れにくいボタンにして」と言われます。貝ボタンだと割れやすいとかそういうイメージがありますが、貝ボタンだろうがポリエステルのボタンだろうが割ってくるクリーニング屋さんは何でも割ってきます。


機械プレスで行っているクリーニング屋さんの動画です。動画の中でプレス機にかける前に「シワにならないようにしっかりと伸ばして」とナレーションで言っていますが、シワにならないように伸ばすのではなく、縮まないように伸ばしてほしい。このプレス機でプレスすると割れるのかしら?どうやったら割ってくるのか説明してほしい。

手作業との違いはこちらをご覧下さい。


上の動画の1分辺りにこのクリーニング屋さんが説明をされていますが

「衿の裏から、ここは縮むことがあるのでしっかり伸ばしてから」

こう言ってます。ここがポイント。シャツの衿やカフスというのは当然のことながら生地が二枚重なっています。その中に芯が入っていますが、一般的には接着芯と言って衿やカフスの表側の生地の裏側と中に入る芯の上側が樹脂によって接着されています。ですからパリッとした仕上がりになります。

リネンやその他カジュアルに使われるような生地の場合は、接着しない「フラシの芯」というものを使うこともあります。例えばリネンなどはボディがシワになっているのに、衿やカフスだけ全くシワのないパリッとした仕上がりだとその方が違和感があるからです。

プレスによってある程度のシワはとれるので、リネンなどの素材は非接着芯「フラシの芯」を使います。

話を戻しますが、樹脂で接着している以上、強い熱を加えれば縮みます。また紙でも布でも水に入れた縮みます。その状態のままプレス機にかけると、縮むのではなく縮んだ状態のまま仕上がるわけです。

二番目の動画のような手仕上げで、しかも裏側からしっかりとかけて頂ければ、樹脂と接着している上側に強い熱やプレスの圧力をかける必要もないので、縮みも少なく綺麗に仕上がるわけです。

では、なぜ剣ボロのボタンが割れてしまうのか? 正直、この動画だけでは判断できませんが...、よほど強い力で上からドスンとプレス機でもかけてくるのでしょう。

当然当店の責任ではないとしても、当然無償にてボタンは付け替えてお客様にお渡ししています。

もし金沢でよいクリーニング屋さんをということであれば、「洗濯工房うえむら」さん。富山だったら「中央ドライ」さんにご相談頂ければと思います。

先日遠方のお客様からお電話があり「いいクリーニング屋さん見つけたのよ」と凄く嬉しそうにお話をされていました。手作業のクリーニング屋さんも少なくなっています。大事にして頂ければと思います。

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とても肌触りのよいまさに生地質のよいシャツです。

NO-10458079 ライトグレーのロンドンストライプ生地 ヨーロピアンファブリック 綿100% お仕立て上がり22,000円(税込)

クリーニング屋さん、優しくプレスをお願いいたします。またお客様。できれば手仕上げでクリーニングを出して頂ければと思います。プレスができる職人さんも残していく義務ではありませんが、そういう方を大切にしていくのも日本には必要ではないかと、こういう商売をしていて思います。


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